2007年08月22日

内戦を描いた傑作映画「キリング・フィールド」と「ホテル・ルワンダ」

内戦を舞台にした実録映画はずっしり重ためですが、いわゆる戦争モノとは違った種類の深い感動が胸に迫ります。

「キリング・フィールド」
ニューヨーク・タイムズ記者としてカンボジア内戦を取材し、後にピューリッツァー賞を受賞したシドニー・シャーバークの体験に基づいた実話を映画化した作品です。アメリカ人記者シドニーと現地人助手プランの友情が感動的で、バランスのいい作品だと思います。テレビのバラエティ番組で泣ける映画を特集した企画でもタイトルがあがっていましたね。

危険を顧みず現地で取材を続けていた外国人記者達は、日に日にクメール・ルージュが優勢になり、危ういところを同行していた現地人助手・プランの機転で助かったことも。このあたりの混乱と何が起こるかわからない不安な描写はスピルバーグの「宇宙戦争」の冒頭をしのぐと思います。比べるのもなんなんですけど。
プランはシドニーの気持ちを考え、迷いながらも家族だけ避難させて自分は残ったために、脱出の機会を失ってしまいます。
やがてアメリカ軍が撤退を開始しクメール・ルージュが完全に支配したところで、皆はフランス大使館へ避難しますが、外国人ではないプランは皆の努力の甲斐もなく大使館の外へ出されてしまうのです。

プランは頭が良くて勇気のある人ですが、クメール・ルージュの待ち受ける大使館の門外へ出される時には泣きながら立ち尽くしていた様子が印象的です。後半はそんな一個人としての彼の視点から強制労働の集団農場での体験が語られるのです。

このカンボジア人助手を演じたハイン・S・ニョールさんが素晴しいです。西洋人に比べると小柄で肩幅も狭いわけですが知性的な魅力があって、背が高く胸板の厚いアメリカ人記者がデクノボウに見えます。
演技には素人だったそうですが、この作品でアカデミー助演男優賞を獲りました。彼もカンボジア出身の医師で、実際に4年の間、クメール・ルージュの元で強制労働に就かされ、家族を失った経験を持ちます。実体験はもっと凄まじかったのだとか。
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DVDならスペシャル・エディションの方が画質がいいらしいのでオススメです。私はそうでない方を観たのですが、ちょっと画質が悪かったです。もちろん観始めたらそんな事はすぐに気にならなくなりましたが。


「ホテル・ルワンダ」
100日で100万人が虐殺されたルワンダ事件を背景に、1200人の命を救ったホテルマンの決死的行動を描いた実録社会派映画の名作です。1994年アフリカのルワンダでは、長年にわたるフツ族とツチ族の民族抗争がエスカレートし、ついにフツ族はツチ族の大虐殺を開始しました。
このルワンダという国は救済する先進大国にとって、資源の面などで今ひとつオイシクない国。なので手をこまねいて傍観しています。その間に大量虐殺がどんどんエスカレートしてしまうのでした。
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高級ホテル「ミル・コリン」の支配人を努めるフツ族の主人公のポールは、妻のタチアナがツチ族であることから家族だけでも護ろうとしていたのですが、彼を頼って集まってきた難民たちを見ているうちに迷いながらも匿う決意を固めていくのです。
彼は日頃から各方面に顔の広い人でしたが、そんな彼でさえ当初の状況判断が甘かった思い知らされる現実に直面していきます。
また、国連平和維持軍に撤退命令が出た時に自らを恥じた大佐は、ポールに欧米の差別意識を吐露します。「君らはニガーですらない、黒人だ」と。教養を身につけ常に品格にこだわってきたポールは、欧米人と対等に仕事をしているつもりでいたエリート意識、そしてそれがただの思い込みだったということを思い知らされるのです。

たくさんの人を救った話なので感動的な映画のはずですが、衝撃の方が大きくて本当に気が滅入りました。
同じフツ族でも殺す側に回らないと容赦なく虐殺されてしまうのです。ラジオ放送に煽られた民間人がいっせいに民兵化する、隣人だったはずの人間が中国製の刀を持って殺しに来るという現実が何よりもショッキングでした。
セリフはウロ覚えですが、平素からの取引相手で何かと贈り物をしていたフツ族グループ拠点のリーダーのところへ食料を買い付けに乗り込み、法外な値
段でどうにか取引をしてもらった後に「肥えた牛からミルクは絞った、後は殺すだけだ」と言葉をかけられる場面がなんとも不気味でした。

他にも記憶に残るセリフ、名場面があり、しっかりエンターテイメントな作りにもなっているおすすめ映画なのは確かです。でも私自身はしばらくは観たくないってぐらい落ち込みました。

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