アイテムとしては日常にありふれたモノが使われているのですが、その質感が妙に心に残ります。私の見た作品では、ブリキとか鉄、コットンや縫い糸、石や木の質感が。あと、長いベロ(舌)をよく見かけるような気がしますね。妙に冷たそうなベロなんです・・・。短編では焼く前のステーキ肉や人体のイメージも出てきましたが、全体的にはカサカサした質感と映像(コマ送り?)が多くて血液は出てこなかったのでご安心を。たぶんショッキングな作品を観たい人の期待には外れるかもしれませんね。ショッキングではないと思うけど、どっと疲れると思います。もしも興味をもたれた方はそれなりに心の準備をして観て下さいね。
ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」をアニメと実写を掛け合わせて映像化した「アリス」は、グロテスクという程のシーンはないですが、どこか不安をかきたてるイメージに溢れていて、時おり悪夢に近いぐらいのものがありました。時計を持った兎も、剥製が動き出すという設定で懐中時計を取り出す度にガラス面のおが屑を拭く仕草があったりします。
それでもイマジネーションの膨らませ方というか、判るような気がすると思えるような不思議と共感できる部分もあって、それが強烈に心に刻まれてしまうのですよね。ベタですが、机の引出に入るというのは「ドラえもん」みたいで少し嬉しくなりました。
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Alice by Jan Svankmajer (リンクが切れていたらタイトルで検索してみてください)
http://www.youtube.com/watch?v=C5wHMgTPF-s
こちらは短編から
Comida Jan Svankmajer
http://www.youtube.com/watch?v=CzStzHPt91Y
相当変わったフェティッシュを持つバラバラだけどリンクしている6人の登場人物をシュールかつグロテスクに描いた危険な香りの「悦楽共犯者」。セリフもなくひたすら変態な作業に没頭する様子が描かれています。この作品でもカサカサした映像が多くて、滑稽なぐらいに客観的というか、別に理解したいなんてこれっぽちも思わないし観ている時は気持ち悪いぐらいだったのですが、この気持ち悪さって何だろうと考えると、例えば裸というものがマヌケに見えることに対する不安感のような、どこか性に対して等しくヘンテコでグロテスクに見えた子供心を思い出すような感覚でした。だから見る側にとっては官能的でもエロくもないんじゃないでしょうか。むしろ不愉快に近いかもしれない。
それなのに何故かふと思い出すんです・・・ひたすらパンを丸める女とか。するともう一度観てみたいような気もしてくる。思うのですが、嫌いで気持ち悪いモノを何故かマジマジと見てしまう人はハマれるんじゃないでしょうか。
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ラベル:アート・アニメ
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